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INTERVIEW Vol.10

AI時代の士業独立

ご出演:2025年独立!FASに強い会計士 清水さん

独立のきっかけと最初の3ヶ月

2025年4月に独立してから、まだ1年も経っていない清水さん。監査非常勤で一定の安定収入を確保しつつ独立というスタイルで、金銭面での大きな不安はなかったという。

しかし最初の数ヶ月は「監査以外の仕事をどうやって取ればいいのか、まったくわからなかった」と打ち明ける。企業のホームページのフォームへ片っ端から営業をかけたり、怪しいLP制作業者の逆営業に引っかかってお金を払ってしまったりと、今振り返れば「よくわからない動き」をしていたそうだ。

独立後3ヶ月を過ぎた頃から徐々に仕事が入り始め、今ではようやく「ホッとしているところ」と語る。

仕事の取り方:税務とFASで戦略が異なる

独立会計士の仕事獲得において、清水さんは税務とFASで異なるアプローチをとっている。

税務については、ミツモア・税理士ドットコム・freeeなどのマッチングプラットフォームを素直に活用するのが正解だと言い切る。「変に工夫しようとするより、素直にプラットフォームに乗っていれば税務の仕事は十分取れる」。ただし、プラットフォームは初年度に紹介料を多額に取られるため、2年目以降にリピーターへつなげていけるかどうかが鍵だとも付け加える。

FAS(財務DD・Valuation等)については、最初に試みた直受け営業はほぼ成果がなかった。現在は、もともとの知人の紹介を通じてFAS会社からの業務委託という形で仕事をもらえるようになってきた。「下請けというと聞こえが悪いが、需要は確実にある。柱の一つになってきた」と話す。

現在の業務ポートフォリオは、監査非常勤・個人法人税務・財務DD・株価算定・PPA・ストックオプション評価と多岐にわたる。「今のところは何でもやる。どれがヒットするか探っている段階」というスタンスだ。

独立の良さと落とし穴

良かったこと:人間関係と時間の自由

独立して最も変わったのは、「人間関係のストレスが限りなくゼロになった」ことだという。複数の職場を経験する中で、上司関係に大きなストレスを抱えた時期もあったというが、独立後はそれが完全に消えた。

また、スケジュールを自分で決められる自由も大きい。「赤ちゃんが生まれたばかりなので、午前中子どもと過ごしてから仕事を始めるとか、普通に1時間遅らせるとかが自由自在。家庭との両立がしやすい」と話す。

落とし穴:自宅・カフェ作業の孤立

独立してやってしまいがちな失敗として清水さんが挙げたのが、「固定費を嫌がって自宅やカフェ、図書館で仕事しようとすること」だ。「結局やる気がなくなる。一人でよくわからないことをしてしまう。LPの営業に引っかかったのも、人と話せていれば防げた」。

会計士Villageに通い始めてから集中力が上がり、周囲の独立会計士と話すことで自分の立ち位置を客観的に確認できるようになったと感じている。「独立したら、仲間がいる場所を探すことをお勧めしたい。どこでもいいので、そういう場があった方がスムーズに仕事できる」。

AIは「壊滅」どころか、独立会計士の最強の味方

近年、「士業はAIに壊滅させられる」という議論がSNSで盛んに行われているが、清水さんの見解は明快だ。

短期的には:AIは本当に役立っている

「独立したタイミングがこの時期でよかったと心底思っている。AIがなかったら大変だった」と断言する。特に税務業務では、複雑な手続きや知識の確認をAIに聞くことで検索よりも圧倒的に速く調べられる。「ChatGPTが攻めた答えを返してきたらGeminiと戦わせる」という使い方もしているという。

FASなど複雑な専門領域では精度に限界を感じることもあるが、総じて「今のAIは十分に使える精度になってきた」という印象を持っている。

長期的には:「今回だけは違う」は過去も外れ続けてきた

ツールが仕事を奪うという議論に対して、清水さんはこう問い返す。

「ワープロが出て、パソコンが出て、スマホが出て、そのたびに生産性が上がった。でもオフィスに3時間しかいなくていい世界になったか?むしろ逆で、どんどん忙しくなっている。ツールが出るたびに仕事がなくなるというのは、本当かよと思っている」

いつの時代も「今回だけは違う(This Time is Different)」という言説は外れ続けてきた。AIも同様に、使いこなす者の生産性を上げるツールとして機能するという見方だ。

士業が最後まで残る理由:独占業務と「保証機能」

仮にAIが士業の能力を超える日が来たとしても、すぐに士業の仕事がなくなるわけではない、と清水さんは考える。

「士業には、資格を持っていないとできないという独占領域がある。仮にAIのスキルが人間を超えたとしても、責任を負う主体・保証の機能は残り続ける。なくなるとしたら、ノンライセンスの職種の方が先ではないか」

順番として、まず一般的なホワイトカラー業務がAI代替され、その後に士業の領域が影響を受ける。「士業の仕事がAIでなくなる世界では、もうホワイトカラー全体の仕事がなくなっている」という見方は、量子コンピューターとブロックチェーンの関係にも似ている——暗号が破られる時には銀行システムごと全部やられている、という話と構造が同じだ。

独立を迷っている会計士へのメッセージ

「会計士は、独立するのに恵まれた環境にいる」というのが清水さんの結論だ。

監査非常勤で生活費を確保できる仕組みがある。AIを使えばロケットスタートが切れる。税務もFASも需要はある。「真面目に動き回れる人であれば、後悔はしないと思う」と力強く語る。

「AIをちゃんと触っているだけで、触っていない人と差がつく時代。今独立すれば、AIにも聞けるし、会計士Villageのような場所に来れば先輩独立会計士もいる。状況としてはいいタイミングだと思う」

確定申告50件・財務DD1件・株価算定6件を同時並行でこなす清水さんの姿が、そのメッセージの説得力を裏付けている。

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